正直なところ、人より本を読まないほうだと思います。
いえ、正確にお伝えすると、学生のころは近所の図書館に通って本を読んでいたから人並みには読んできたとは思うのです。でも「本が好きでよく読書をしています」と話す人と比べると全然本を読んでいないなと感じています。
社会人になってからは、さらに本を読むこと自体が減りました。仕事だから、付き合いだからと苦手なジャンルの本を読まなきゃいけない場面が増えてしまって、本を読むこと自体ちょっと疲れちゃったんです。
本から少し離れた最近は、ちょっとずつ自分が読みたいなと思う本を読めるようになってきてからは自分のペースでゆるゆると読書ができるようになりました。開くのが楽しみな本を読むときに決まって使うのがこの栞です。
卒業旅行でイタリアに行った友達からもらったおみやげ。イニシャル付き。クラシカルでヨーロピアンな雰囲気が気に入っていて、10年以上使っています。イタリアンレザーの、と言いながらたぶんそんなに高価なものではないのだろうけど、そこがちょうどよくて使いやすい理由のひとつです。
読みたい本を初めて開く前に、わたしはこの栞を手に取ります。さあ本を読むぞと気合と期待を抱えながら、「今回もこの栞の出番が来た」と毎度喜びを感じているのも確かです。お気に入りの栞があることで、読書の楽しみが増しているのだと栞について考える中で改めて感じました。
読みかけの本を開いたらすっと抜き取って机に置く。本を閉じるときにもう一度手にとって本に挟む。栞は現実世界と本の世界を出入りするときの鍵のような役割を担っているのかもしれません。
わたしは人と比べたら、本を読まないほうだと思います。それでも本を読むことは好きだし、自分の人生以外の世界を感じ取れるから読書は好きです。
これからも本の世界に誘って、そして引き戻してくれよ。頼むな、イタリアンレザーの栞。
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